ヒアルロン酸の種類と歴史
ヒアルロン酸の種類
厚労省で認可されたメーカーのみ使用
全体の60%が水分で構成されているヒトの体において、優れた水分保持能力(保水力)を持つヒアルロン酸はお肌のハリや潤いを保つために欠かせない物質です。体の中にもともと存在する物質ですが、製剤されたヒアルロン酸を注入することで加齢による減少を緩やかにすることができます。
浜口クリニックでは厚生労働省に認可されたメーカーのヒアルロン酸を使用し、安全性を最大限に考慮した治療を行います。ヒアルロン酸と一言で言っても、製品によって硬めのタイプからより柔らかいタイプのものまでさまざまです。使用部位や目的、皮膚の状態によって医師が使い分けることになりますが、体に直接注入するものですから、厳しい審査を通ったヒアルロン酸を使用しています。
ジュビダームビスタ®シリーズ
日本国内で初めて製造販売が承認されたアラガン社製ヒアルロン酸です。2014年3月の承認以降、多くの美容外科・皮膚科等においてシワやたるみ治療に使用実績があります。
ガルデルマ社製レスチレン®シリーズ(旧:Q-MED社)
アラガン社製に続き、2015年6月にガルデルマ社製ヒアルロン酸である「レスチレン®」が厚生労働省認可となりました。体内にある天然のヒアルロン酸に近いタイプです。非動物性のものとして世界70カ国以上で使用されています。
ヒアルロン酸の歴史
ヒアルロン酸は1934年、アメリカの大学教授らによって牛の目から分離されて発見されました。数年後、関節を痛めていた競走馬にヒアルロン酸を注射するとみるみる回復してレースで勝ったことがきっかけとなり、医療分野へ応用できないものかと技術開発が始まったのです。
水分や関節保持など体内で欠かせない機能を果たしていることもわかり、1950年代に眼科手術へ用いられました。その後も研究が進み、膝の関節痛や目の白内障手術、皮膚のシワ・たるみの改善など医療分野で応用されるようになりました。
医療分野におけるヒアルロン酸の応用が進んだのと同時に報告され始めたのが副作用の存在です。開発の初期段階ではへその緒やニワトリの鶏冠(とさか)からヒアルロン酸を精製しており、動物性であることから体に合わない場合にアレルギー反応が起こったのです。研究者たちの努力と技術によって今では動物性であってもアレルギー反応が少ないタイプが開発され、さらに非動物性のヒアルロン酸が主流となりました。近年では医療分野への応用時にアレルギー反応が起こることはごく稀であると言われています。
シワ治療への応用
優れた保水力があるのなら、シワやたるみが消えるかもしれない-。誰にでも起こる加齢による肌質低下を防ぐため、アンチエイジングの一環としてシワ治療への応用に使われ出したこともヒアルロン酸の特徴です。シワ治療といえば従来はコラーゲンが一般的でした。整形外科や美容クリニックが増え始めた1980年代には盛んに注入治療も行われましたが、やはり問題となったのがアレルギー反応です。タンパク質の一種であるコラーゲンの使用はシワを伸ばす効果には個人差があるだけでなく、体に合わない場合は拒否反応を起こしてしまうこともありました。安全性を高めるためにアレルギー反応がないかどうかを事前に確かめる検査が必要となるため、治療には費用も時間もかかりました。
シワ治療にヒアルロン酸が応用されるようになったのは1990年代後半です。非動物性のヒアルロン酸が開発され、タンパク質でもなく動物性でもないヒアルロン酸によってアレルギー反応を起こす確率が大幅に減少しました。さらに事前のアレルギー反応検査も不要であり、診察に行った当日に注入が可能という夢のような治療が現実となったのです。
今ではさらに多くのヒアルロン酸が登場し、だからこそ安全性が高いものを選ぶことが必要となっています。注射だけなので手軽にできると考えがちですが、注入治療は高度な技術と豊富な知識・経験が必要な、医療従事者にとってハイレベルな治療方法です。